ヒタスタイルコラム再録 37 電話変遷記 2017年3月号掲載
「シモ、シモ?」
黒いショルダーバッグのような携帯電話を肩パットでとんがった肩にかけ、ワンレンをかき上げながら電話に出る。
今ではすっかりお笑いですが、本当に六本木の交差点で目撃した時には「カッコいい〜」と本気で思ったものです。
当時、我々大学生は携帯電話こそ持ていませんでしたが「シモ、シモ」は多用していました。
そうですバブル世代です。
その後の携帯電話の進化は凄まじく小型化と共に多機能化、そしてパーソナル化して一人一台いや二台持ちも珍しくない。
かかってきた相手がわかる機能で「シモ、シモ?」という必要もなく会話に入っていける、何十年かの間での凄い進化です。
家に電話が来た日のことをのをうっすらと覚えている、黒くて重いやつ。
「ジリジリジリジリーン」という呼び出し音は家族団欒を引き裂く迫力があった。
大人が面白がって子供に電話を取らせる。
「はい古後です!どちらさまですか?」
棒読みセリフで応答する、ドキドキした。
小学生の高学年にもなると自分から電話をかけることも増えてくる
「◯◯さんのお宅ですか、××ちゃんいますか?」
まだ棒読み感が抜けない。
連絡網などで皆んなの電話番号がわかる時代。
それでもクラスに一人二人はまだ電話が無く、お隣さんや大家さんの電話番号で(呼出し)なんて書いてあった。
中学生になれば友達同士での長電話を覚える。
勿論まだ一家に一台の電話なので親からは酷く怒られる、ならば親が寝静まった後に長電話。
この頃から親子電話なるものが普及しだし、茶の間以外でも電話ができる状態になってくる。
高校生になるとその子機を持って、あの子のお父さんが出ないよう時間を決めてあの子の家の番号を回す。
何かの手違いでお父さんが出た時の緊張感は今も生々しく心に刻まれてる。
大学生で初めて自分の電話を持つと電話代金の現実に襲われる。
東京から日田に電話するときは敢えて公衆電話でしたりしたが、昼間なんかは10円玉の落ちる速度がビビるくらい早い。
実家にはコレクトコールというかかって着た方が料金を払う方法でかけていた、今もあるのだろうかコレクトコール。
社会人になると会社の電話を取らなければいけない「御電話ありがとうございます、株式会社◯◯ 営業課 古後でございますッ!」黒電話を初めてとった時や、彼女のお父さんが電話に出た時より緊張感を持って電話に出る。
この春 社会人になる携帯世代の若者も大きな声で張り切って会社の電話に出て欲しいものです、頑張れ!
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Kiyo
・九州の盆地大分県日田市でstepscolorを営む。
・1967年生れ。地元日田高校から埼玉県城西大学へ
・卒業後福岡にて宝石屋、レオタード屋さんを経て2003年帰郷
・2010年より野外音楽イベント「ボンチサウンドフェノメノン」を企画
・2013年から地元情報誌「ヒタスタイル」にてコラムを連載
・2014年から音楽サイトにて記事を執筆
・2017年「ステップスカラー」オープン
・2019年 地元テレビ局KCVにて「噂のマスターに会いに行く」コーナー担当日田のうまい飲み屋を紹介しています。
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