ヒタスタイルコラム この街にピザ専門店ができた頃 2014年5月号
この街にピザ専門店が出来たのは中学生の頃。坊主頭の4人組で意気揚々と乗り込んだものの、実はピザなる食べ物全く知らなくって想像もつかなかった。
強がって知ったかぶっていたが、後の3人も結構怪しかった。タバスコが運ばれてきたときの一瞬の微妙な空気を今でも覚えてる。
肝心のピッザもメニューを開いたときの価格にビビった。そのお店が特別高いというわけではないだろうが、当時の中学生のおこずかい(3千円位が平均かな~)から考えるとやはり高額だった。おこずかいの約一週間分、当時よく行ってた学生うどんだと5~6杯は食える。
そして再びの微妙な空気のもと、一番安いピザトースト350円也を注文。それでも学生うどん2杯ちょっと、思い切ったオーダーだ。
そして運ばれてきたトーストがまた厚い、日頃家で食べてるトーストの倍はあった、こりゃどーやって口に入れるのかまた不安がよぎる。
覚悟を決め慣れない手つきでタバスコをふりかけ、いざ実食。熱々のトロ~り溶けたチーズと、こんがり焼けたトーストとの食感のハーモニー。と今では素人のグルメレポーターさえ使うのを躊躇うような表現だが、当時はこれが生まれて初めて感覚。
初めての物を、初めての店で食べる緊張感。物と情報が溢れてる今、また経験するときが来るのだろうか?
日田もこの頃はにぎわってた。コラム後記
このお話のお店は「チボリ」というお店で本文にもあるように緊張感もあって今も鮮明に店内を覚えている。こじんまりとまとまったいい感じのお店だった。そこへ学生服のイガグリ頭4人が乗り込んだのだからアウエー間半端なかった。そのうえ4人とも知ったかぶった感じで仲間内でも微妙なアウエー感も醸していた。
チボリはアミナード通りにあって他にも学生服屋さん、レコード屋さんにレンタルレコード屋、雑貨屋に喫茶店と日曜日行くと結構にぎわっていた。なんでもあの頃は良かったというつもりはないが、ネット通販もなく、福岡も時間的にまだ遠い時代の方が地方都市は潤ってたのだろう。
江戸時代の鎖国みたいなものでそこそれぞれの文化や流行りがあったように思う。それが今、県民ショーやB1グランプリなんかでその文化を消費してる気がする。B1グルメの店が都会ではチェーン店化していたり、コンビニの商品化していたりと。
近い将来何がどこの名物かわからなくなってしまいそうだ、野菜の旬が分かりにくくなった今のように。
Kiyo
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