ヒタスタイルコラム再録 55 2018年9月号掲載 百貨店
夏休みの間に買い物で日田から少し遠出し、
大型のショッピングセンターなんかに立ち寄ると思いがけず多くの子供達で賑わってたりする。
子供向けの企画イベントとかもやってたりするんだけども、
近場で、エアコンも効いてて、親もショッピングを楽しめて、家族で食事まで楽しめる。
どこか遠くへ連れて行かなくてもちょっとしたレジャー感覚で楽しめる。
そんな光景を眺めているとふと既視感がこみ上げて来た。
そう、昭和の頃には百貨店がその役割を一手に引き受けていた。
そして日田にも百貨店がそびえ立っていた時代があり我々は小学生だった。
今ほど暑くはない夏休みしかし今ほどエアコンの普及率がない時代家族でエアコンの効いた百貨店に行くのはやはりレジャーだった。
一階の自動ドアが開いたときに涼しい風と共に感じる化粧品の香り、しかしその頃はそこの美容部員のオネエさんよりも、その奥にあったチョコレートや飴やお菓子がバラ売り状態で並べられゆっくりと回転している大きな円盤状のディスプレイに引き寄せられて行く。
この量り売りのお菓子を早くも親におねだりをするのだが、荷物になるので帰りに、と説得され素直に上の階へとエスカレーターで登って行く。
ここからは親の買い物タイムなのでその間に兄弟で催事場でやってる、世界の爬虫類やら、熱帯魚店やらを見に行く。
ちなみに私大学時代にアルバイトでここでウーパールーパーのぬいぐるみに中に入っていました。
それでもまだ買い物が終わらない親に臨時おこずかいをせしめ、屋上のプレイランドへとなだれ込む。
そこはもう夢の世界。
今のようにTVゲームはなく銃で撃つやつや、レース関係、UFOキャッチャーの初期のクレーンゲーム。
なかには、お金を入れて御神籤を引くと、巫女の格好をしたからくり人形が御神籤を持ってくるだけみたいなチープなものもあった。
そうこうしてるうちに待望のお昼ご飯。
百貨店のレストランは子供心にもテンションが上がる、あの国旗が刺さったお子様ランチが食べれる。
最初に入口のカウンターで、国鉄のキップのように分厚い食券を買い、100円で星占いができるマシーンの置いてある席でお子様ランチを食べる。
このあと親の機嫌がよければソフトクリームも食べれる、当時は高級品のソフトクリーム、しかも百貨店のそれは専用のソフトクリームスタンドに入ってやって来る、もう運ばれて来る姿にオーラがあった。
ここまでくれば満足度100%、意気揚々とエスカレーターを降りて行く、たとえ、行きがけに約束したお菓子の量り売りを買う約束は忘れていたとしても。
Kiyo
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