「大阪・西成 24時間夫婦食堂」ドキュメント72時間

ドキュメント72時間

濃いです大阪西成。既にディープスポットとして有名な西成。その西成でご夫婦で交代しながら24時間お店を営んでるという。濃い西成を想像していたらご夫婦と店構えは意外と普通。

しかし!しょっぱなからセーラー服姿の男性45歳。統合失調症を患っているらしいが、皆を楽しませようとセーラー服姿でカウンターで飲んでいる。さすが西成、番組的にもつかみはOKだ。その後も濃いお客さんが次々にやってくる。心の病や生活保護なんて言葉がスタンダードに話されている。持病の腰痛の薬を店に預けている常連さん、家に薬を置いてると痛いから次から次へと薬を飲んでしまうのでマスターに預けてるという。そしてお酒を飲んでいる、いやいや鎮痛剤とアルコールの方がやばいんじゃないかとツッコミみたくなる。

なんでも取り込むブックホールみたいな都市の中のオアシスといった具合のお店。お昼にはお酒を飲む方以外にもお子さんが一人お昼ご飯を食べにやってきたりする、正にカオス。初日の深夜も3時を過ぎても満席。仕事終わりのタクシー運転手は週末の競馬が楽しみ。酔って天皇賞の予想を始めるこれがいい前振りにもなってくる。

翌日の朝から飲んでるのは、漁師から西成にやってきて15年の30代男性派遣社員や日雇いで働いていて田舎から出てきて知り合いも増えもう少し西成で頑張るという。それでもやはり深い話は夜お酒を飲んでから、20歳のホストのお兄ちゃんがイケメンで夢を持って頑張ってる。夕方は賑やかなこれまた生活保護と年金生活者の喧嘩のようなやり取り、が大阪弁ゆえにギスギスしなくていい感じ。昔ここでバイトしていた男性が子供を連れてやってきては、いづれこの子もここでバイトしてほしいなんて東京や都会の親では考えられないことを笑顔でいういいお父さんだ。

そして初日に来ていた60代の女性、この店で出会った男性が3年前に目の前で亡くなったという、寂しさ紛らわすためかほぼ毎日やってくるという、そして最終日前の夜も5時間もこの店で飲んで最後はマスターにたしなめられ帰っていく。同じお店のマスターという立場で感心したのは、本当に心配して強い口調でたしなめられる感じ。このさじ加減が難しい。まだまだ人生経験の少ない私は、怒りの感情の方が先に出てしまいそうだ。本当に心配しているから厳しく言ってるってのは伝えるのは本当に難しい。そこはさすががこの場所で長く店を構えるマスターさすがである。

最終日は日曜日午後満員のカウンターみな競馬天皇賞を見る。タクシーの運転手一押し馬が優勝というオチが素晴らしい。

明日から頑張ろうと、元気を出したりするために綺麗なものや、ポジティブな本や映画を見るのもいいのだが以外とこういうディープな混沌やどうしようもなくも愛すべき人々を見たほうが、頑張ろうという気になってくるのが不思議だ。

それにしても今回は「ドキュメント72時間」でもあり、同じ素材で「世界入りにくい居酒屋」バージョンの編集も出来たんじゃないかと思う。

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Kiyo

・九州の盆地大分県日田市でダイニングバーSTEPSを営む。 ・1967年生れ。地元日田高校から埼玉県城西大学へ、卒業後福岡にて宝石屋、レオタード屋さんを経て2003年帰郷。 ・STEPSを営む傍、2010年より野外音楽イベント「ボンチサウンドフェノメノン」を企画運営。 ・2013年から地元情報誌「ヒタスタイル」にてコラムを連載中。 ・2014年から音楽サイトにて記事を執筆。 ・2017年「ステップスカラー」オープン