ヒタスタイル再録 45 秋祭り

ヒタスタイル再録 45 秋祭り

 

ヒタスタイルコラム再録 45 2017年11月号掲載

秋祭り

 

日田の最近の秋祭りといえば「天領祭り」

 

今年で38回目だそうでもう立派な日田を代表するお祭り、近年は千年あかりも同時開催、インスタ映えする綺麗で風流なお祭りとして市内外から沢山のお客様がやってくる。

 

38年前まだ天領祭りがなかった頃の秋祭りの絶対王者は「放生会」だった。

 

ちょうど学生服の衣替え移行期でいち早く暑いのを我慢して学ランを着ていた方も多いはず。

 

ファッションは季節の先取り、イコール我慢だと身を以て知らされた15の夜。

 

それ以前は夜に行く時には親と一緒が必須。

 

極彩色のテキ屋さんがテンションを上げるが、親同伴なので買い物も自由にはできない、型抜きなんかはもってのほか。

 

それであのお兄さんや、お姉さんの猥雑さに心惹かれた。

 

テキ屋さんの最後トリに登場する見世物小屋。

 

今やTVなどでは放送できないであろう見世物小屋の出演陣。

 

コッソリ小屋の裏なんか覗いてみたりした。

 

見せ物小屋を抜け階段を上る手前に軍服を着て義手でアコーディオンを奏でる初老の元軍人、横には義足で半土下座状態の方もいて前にはお金を入れる箱が置いてあった。

 

無邪気にお金を入れても、街の募金とは違い、親も手放しでは褒めてくれない微妙な雰囲気があった。

 

今となってはその微妙な雰囲気の正体も薄っすら解ってきたのだけども。

 

そこから階段を登ればもう神社の世界、しっかりと御参りをしてまた元の道を戻って行く。

 

今思えば見事なコントラスト、聖と俗が入れ乱れつつも調和がとれていた昭和ならではの混沌。

 

昔は俗とされてたテレビのお笑い番組も少数派に慮りすぎて、キャラクターにまでクレームが来て最高責任者が謝罪するような世の中。

 

もちろんキラキラとSNSのなかのような綺麗な事ばかりならば良いのだが、それだけではないリアルな人生、あの秋祭りような清濁混じった体験を子供の頃にできてよかった。

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Kiyo

・九州の盆地大分県日田市でstepscolorを営む。 ・1967年生れ。地元日田高校から埼玉県城西大学へ ・卒業後福岡にて宝石屋、レオタード屋さんを経て2003年帰郷 ・2010年より野外音楽イベント「ボンチサウンドフェノメノン」を企画 ・2013年から地元情報誌「ヒタスタイル」にてコラムを連載 ・2014年から音楽サイトにて記事を執筆 ・2017年「ステップスカラー」オープン ・2019年 地元テレビ局KCVにて「噂のマスターに会いに行く」コーナー担当日田のうまい飲み屋を紹介しています。